ミュジコロール通信vol.3

いよいよ中学受験のシーズンですね。現在6年生の生徒さんたちは去年末までにいったん音楽教室をお休みして、今頃は最後の追い込みの勉強に専念しているはずです。幼児クラス、小学校低学年の頃から通っている生徒さんのご父兄から相談を受けるのが受験勉強とピアノやヴァイオリンとの両立です。近年は中学受験の競争が激化して、この渋谷近辺では人気の進学塾の席を確保するために、低学年の頃からその塾に通う傾向です。


はっとさせられた言葉

さて中受からは話が逸れますが、以前通っていらしたピアノの生徒さんのお母様が、スランプになってピアノをやめたくなったお子さんに「ここでピアノをやめても、音楽は一生自分の側にあって付き合っていくものなのよ。」と言葉をかけていらっしゃいました。それを隣で聞いていた私が、逆にはっとさせられました。ピアノは音大に進まない限り、いつかは離れていっても仕方がないと思っていました。ですが、本来、音楽とは聴いたり弾いたりしながら一生自分の近くにあり、共感したり、感動したり、落ち込んだ時には励ましてくれる存在なのだということに気付かされました。

■塾との両立

「受験をする場合、だいたいいつ頃まで皆さん音楽教室を続けるんですか?」という質問をいただきますが、早めに退会される方で6年生の春、ギリギリまで続ける方は6年生の12月まで通っていらっしゃいます。6年生の生徒さんと話をすると、勉強だけだと追い詰められるので、できればギリギリまでピアノやヴァイオリンを続けたいとおっしゃる方が多いです。勉強にスイッチが入ると集中力が高まり意欲が刺激されるのか、この時期に楽器がメキメキと伸びる方も多く、両立が返って良い影響を与えあっているのかも知れません。
気分転換になってくれるというのであれば、喜んで私たちはレッスンをさせて頂きます。とは言え、まずは受験に成功して欲しいので、レッスン内容に関しては臨機応変に対応しております。例えば頻度を月3回から2回に減らしたり、もうすこしフレキシブルに通えるチケット制に変更したり、曲を減らしたりと、できるだけ負担にならず無理なく続けられる形をご提案しております。

■復帰の時期

だいたい2月の受験が終わってホッとした時期から再開して、春から夏にかけての発表会を目標に再び頑張る、というパターンです。今年度もほとんどの生徒さんが2月2週目からの復帰を希望されていて、その熱意にはこちらが嬉しくなります。次回の発表会は5月最初の祝日に決まりましたので、タイミングはバッチリです。

■続けたもの勝ち

何においても同じことが言えますが、最後は続けたもの勝ちです。最初数年間は不器用で悩まされても、高校生になる頃には不思議と様々な問題が解決され、憧れの曲が弾けるようになります。そしていつの間にか楽器演奏が自分の特技となり、音楽と一生付き合っていく土台ができるのではないでしょうか。受験勉強は激化しているものの、当教室に通う生徒さんの傾向を見る限り、受験をきっかけにやめてしまう生徒さんは減っています。音楽がずっと身近にあると、日々起こる出来事やその時の感情と音楽とが結びつき、より豊かに色彩感を帯びた体験を味わうことができます。続けることは容易いことではありませんが、楽器を習い始めた方には音楽と共に彩り豊かな人生を送って頂くことが代表としての願いであります。